2015年 03月 13日
ネルテとミネンテ(去年の個展【追憶と眠りの国~眠りの為の回顧展~】の作品) |
最近ちょっと落ち着いて展示などの告知もないので今のうちに去年Sipka様で行った個展、
【追憶と眠りの国~眠りの為の回顧展~】の作品を載せていこうかなと思います。
遅くなってしまい、本当にすみません。。。
今日から一日一作品ずつ紹介していきたいと思います。
ブログ更新苦手ですが頑張ります。
さて、まずこの時行った個展についてです。
この個展は、死者が死後の国「アムニジア」のとある歯科医院を訪れ、生前にやり残したことや想いを整理し、後悔の念や己を縛り付けていた考えに許され、ようやく精神の眠りにつくという物語をベースに作品を作っていったものでした。
そして、個展に出していた人形作品一つ一つにも物語がありました。
その形態は物語調になっているものもあれば詩のような短いものもあり様々です。
何故そのようになっているかというと、死者一人一人の表現の仕方もそれぞれで、沢山語る人も居ればひっそりと胸に秘めたままの人も居るという、人間なら当たり前なんですがなんというか、人形一人一人の個性を尊重したかったというのもあります。
簡単に言うと、その人形一人一人の人生の物語みたいなものを小さな本の形にして添えさせてもらいました。
あんまり書いていても長くなってしまいそうなので作品の紹介と物語を載せていきます。
【ネルテとミネンテ】
双子の鳥のお話です。
この子達の名前であるネルテとミネンテは、
二年くらい前に亜蛮人様で行われた幻想浪漫展に出展した時の有袋装置の説明文に登場してくる鉱山の名前であり、また、これも二年位前ですがギャラリー龍屋様のタツコンに出展した時のネルテとミネンテの心臓という作品のそれでもあります。
最終的に二人は天国に行くのですが、それを意識して箱は白に塗りました。
この個展の作品の中で白い箱はこの子達だけだと思います。
それでは物語もどうぞ。
ネルテとミネンテは生れつき胸が繋がった癒合双体の双子で心臓が一つしかなかった。
しかし頭はきちんと二つあるので、二人は一つの体でありながら二人分の考えを持っていた。
「もし体が二人になれたら抱きしめられるのに」
ネルテとミネンテはお互いをとても大切に思っていた。
二人は生まれながらにして恋人であった。
ネルテとミネンテはそれぞれの考えを持っているので、やりたいこともそれぞれだった。
ネルテは西の街へ行きピアノ弾きになりたかった。
ミネンテは東の街へ行き絵描きになりたかった。
それも二人は分かっていた。
このままではお互いを殺してしまう。
ある時二人は二人の心臓を守る為に心臓から離れることにした。
「あなたのことがとてもたいせつだから」
ネルテとミネンテは心臓を無くした。
二人の小さな体はばらばらになった。
「こんなにも大切なのに。どうしてこんなふうに生まれてきてしまったのだろう」
意識が泡に溶けていく中で二人は嘆いた。
しかしネルテとミネンテはこの体のお陰で二人にしか感じ得られないものがあったこともきちんと気付いていた。
「とてもたいせつだから」
きっと誰のものでもない二人の心を守る為には、たった一つのこの小さな入れ物でなければいけなかったのだ。
ネルテとミネンテは二人の心を永遠に守ったのだ。
二人の体は二つに別れ、二人の一つの心臓は天国の様な真っ白で清らかな所へ預けられた。
初めて本当の二人になった時、それを確認できる心を彼等は持っていなかった。
二人は顔を寄せ合い眠りについていた。
その二人の体を神様が優しく抱きしめて持ち帰った。
二人の体は命の原料となる石の採れる鉱山になった。
eerie.
by eerie-eery
| 2015-03-13 21:33
| mono oki goya