2015年 03月 24日
蛾に擬態した鳥 アルとキリコ |
今日も去年Sipka様で行った個展【追憶と眠りの国~眠りの為の回顧展~】の作品を紹介します。
今日は【蛾に擬態した鳥(アルとキリコ)】です。
二人は恋人同士という設定で作ったので、二人一緒に紹介します。
まず男の子のアルから。
引き出しを模した箱に入っています。
顔が蛾みたいになっています。
顔は取り外せます。
指人形にもなりますし、他の頭が取れるシリーズの人形と付け替えて遊んだりも出来ます。
では物語です。
わたしは蛾に擬態し、普段蛾を食しているようなやや大きめの虫を食している鳥である。
わたしを虫と見間違え啄みに来る者の中にはわたしと同じような鳥もいて、折角仕留めたと思ったのに残念だという顔と向き合っては申し訳ない気持ちになる。
ある時わたしを虫と間違えて啄みにきた鳥にこう言われた。
「お前は人を騙して命を奪い心が苦しくはならないのか」
わたしは今まで抱えていた胸の閊えの正体を掴みかけた気がした。
しかし蛾に擬態したこの姿はわたしの生まれ持ったものであり、虫を食うのもわたしの生まれ持った本能だ。
わたしの意思とは別の所で行われた仕事なのである。
果して意識は本能を越えられるのであろうか。
己の運命を変えることは―。
わたしは虫を食すのをやめた。
アルは餓死してしまったのでしょうか。
自分の存在や性質、背負った運命に疑問を抱いています。
続いて女の子のキリコを紹介します。
この子も引き出しに入っています
かわいい顔に仕上がったのでお気に入りです。
この子も顔が取り外せます。
実在する蛾をモチーフにしています。
わたし個人は妖精さんと呼んでいる蛾です。
では物語です。
久しぶりに彼の元を訪れると彼は酷く痩せていた。
断食をしているらしくもう虫は食べないのだと言った。
鳥でありながら虫のような紛らわしい体にも嫌悪感を抱いているようで、昼間は廃墟の引き出しの中を寝床にしてじっとしているらしかった。
彼はわたしが虫を持って来ても食べなかった。
少し悲しくなったがわたしは見守るしかなかった。
わたしは隣の引き出しに入り、僅かに聞こえる生活音に耳を傾けながら彼が生きているのをただ見守り続けた。
恋人を見守り続けた女の子のお話です。
家族や恋人や友人など、大切な人の元気がないと心配でこちらも元気がなくなってしまい悪循環になってしまいますね。
元気を出してくれるように何とか努力をしたいですが、的を得てないと迷惑にもなり得るし、空回りになってしまうこともあるし、そっと寄り添うのも愛、お節介になってしまうのも愛であってどちらがいいのか判断が出来ないこともあるでしょう。
しかし何事にも言えることですが、お互いがある程度歩み寄らなければ状況はよくならないなあと思うわけです。
他人なら尚更難しいことですね。
明日も紹介頑張ります。
作品数もあと少しになってきました。
最後までお付き合い頂ければ幸いです。
またみてね(・ξ・)つ◎
eerie.
by eerie-eery
| 2015-03-24 20:19
| mono oki goya