2015年 03月 25日
鯨と足首座の支配人 |
今日も去年Sipka様で行った個展【追憶と眠りの国~眠りの為の回顧展~】の作品を紹介します。
今日は【鯨と足首座の支配人】です。
この作品は、個展開催前に作っていたシリーズ【鯨と足首座】のお話と結びつけて主人公である支配人を登場させたというものです。
【鯨と足首座】についてはこのブログでも紹介しているので是非遡って見てみて下さい。
その頃の記事のページ貼ってみたけど→http://iameerie.exblog.jp/21567262/
見れるのでしょうか。
支配人以外にも団員が居ますのでお時間ありましたらその辺りも是非ご覧下さい。
では個展の方の支配人の紹介です。
蓋付きの箱です。チェコの聖書が貼り付けてあります。
支配人眠っています。
支配人を出すと小物入れにもなります。
では物語です。
支配人は鶏の顔を外し鏡を見た。
(わたしは新しい顔を手に入れ、新しい人生を歩んでいる。しかし本当にこれがわたしの救われる道であったのだろうか。)
支配人は鯨に食われてしまった恋人のことを思った。
(ごまかしていただけではないのか。
わたしはわたしの運命を受け入れられなかっただけに違いないのだ。)
支配人は斧を手に取ると自分の首に当てた。
(戯曲はもう終わりにしよう。貴女に逢いたかった。わたしはそれだけだったのだ。沢山の人を巻き込んで、わたしはもっと早く、この舞台に幕を降ろさねばならなかった。)
支配人は自分の本当の首を切り落とした。
首が軽くなったと同時に今まで背負っていた荷を全て降ろした感覚がした。
こうして支配人による支配人の支配は終わった。
静かな夜だった。
支配人の瞼の裏に漆黒の緞帳が重く垂れ込めた。
意識の途切れない間に支配人は身支度を始めた。
食糧品等の入っていた大きめの箱を持ち出し、川辺に浮かべるとその中にうずくまり街を後にした。
水のぶつかる音に耳を傾けながら、ふと劇団員達のことを案じた。
川面を照らす月はいつかも見たような三日月であった。
支配人が街を去った後も、彼の立ち上げた劇団は続いていた。
初めのうちは支配人の所在を聞く者が多少なりともいたが、次第に気にする者はいなくなっていった。
それから暫くして、街のマスク屋で支配人によく似た鶏の仮面が売りに出された。
隣には特に何の変哲もない煤けた茶色の鳥の仮面も並んでいた。
二つの仮面はすぐに買われてしまったようだが、売りに出されている間、毎日ショーウインドーを見つめる一人の義足の女の姿があったという。
鯨と足首座の話をご覧になって頂いた方は分かるかと思うのですが、
最後に居た義足の女は支配人が死んだと思っていた恋人の姿なのかもしれないのです。
このお話で、【鯨と足首座】のお話は完結ということになりました。
何でもそうかなと思うのですが、いろんな国があってもしかしたら平行世界があって、全て一緒に存在していると思うと作っているものも全く別の世界にしたくないと思っていて、少しずつ繋げていきたいので、
前にご紹介したネルテとミネンテもそうだったんですが、支配人も個展に絡めることにしました。
全てはeerie-eeryというわたしの世界のお話なのです。
明日も引き続き紹介します。
あと二体となりました。
またみてね(・ξ・)つ◎
eerie.
by eerie-eery
| 2015-03-25 23:44
| mono oki goya